創業の思い・ご挨拶

社長

 

 2020年3月に愛知県立三谷水産高等学校校長を定年退職し、2020年4月にニホンウナギの完全養殖の基礎研究などを手掛ける株式会社「海みらい研究所」を設立しました。

 二ホンウナギは絶滅危惧ⅠB類に掲載され、絶滅の危険性が高い種となっています。近年、ニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の採捕量は低水準で、養鰻業者の廃業や養殖ウナギの高価格化が進んでおり、天然ウナギの資源回復を目指すには、量産化を可能とする完全養殖技術の開発が急務となっています。弊社は、愛知県蒲郡市に本社のある、医療・眼科機器・コーティング技術に優れた(株)ニデック様よりご支援をいただいて、様々な分野の皆様からのご助力を得て、三谷水産高校と連携しながら、ウナギの完全養殖において最大の課題である人工シラスウナギの量産化と低価格化を可能とする技術開発を目指して起業しました。

 起業後3年目からは、(株)ニデック様からの研究支援が終了したこともあり、校長時代から研究に取り組んだドローンに関する知見を活かして、中京テレビ放送(株)様のドローン関連事業「そらメディア」顧問業務や、教育界と産業界との連携の取組「PHLab推進協議会」の事務局の業務などを行うことで企業活動を維持しています。
 起業当初の思いである日本の貴重な食文化である「うな丼」を持続可能にするために、ウナギの完全養殖で得られた研究成果と、ウナギに関する様々な研究を通して、限りなく自動化を実現する「スマート養鰻業」システムを構築しました。

 ウナギに関する取組はこのシステムの構築で一区切りとして、2025年8月、海文堂出版(株)から「専門高校生・大学生のためのドローンの教科書」を出版しました。出版した目的は、ドローン業務に関わる中で産業用ドローンを適切に扱う人材の育成が急務と感じ、できるだけ早い段階でドローンに対する正しい理解が必要と考えたからです。教育現場でドローンを教材として扱う際に準教科書の位置づけで採用されることを願って出版しました。本書がドローンスペシャリスト人材育成の手助けとなれば幸いです。

 また、ウナギに関する他の取組として、高校では初となる天然ウナギのすみか「石倉かご」を利用したモニタリング調査による天然ウナギの資源保護活動を、三谷水産高校近くの西田川で実施しました。その取組がきっかけとなり、豊橋市天然うなぎ資源保護再生プロジェクト協議会が始まりました。その協議会は豊橋市が主体となり、弊社や汐川干潟を保全する会、豊橋養鰻漁業協同組合や愛知県立三谷水産高等学校、(株)フタバコーケンなどが参加し、豊橋市の汐川干潟(干潟海域で全国初の実施)で「石倉かごモニタリング調査」を実施しています。その結果、多くの再捕獲ウナギ(最大7回)がいることから、干潟海域で定着して生息するウナギの可能性が示唆されています。

 さらに、銀ウナギ(産卵行動前の成熟ウナギ)の再捕獲に成功したことで、はるかグアム沖まで産卵行動に旅立つウナギの、塩分馴致や栄養補給などの行動形態が示唆されました。汐川干潟におけるモニタリング調査は、令和5年度からは豊橋市立章南中学校が主体となり、九州大学や人間環境大学も加わり、同校の学校行事「環境学習デイ」の取組の一環として実施しています。これらの研究成果は、東京大学で実施された東アジア鰻学会(令和4年3月31日)や、同大学で実施されたウナギに関する公開シンポジウム「うな丼の未来10」(令和5年7月1日)で報告しました。

 その他に、限られたウナギ資源の有効活用を目指して、(株)あつみさんやイチビキ(株)さんと連携して魚醤(ぎょしょう)の開発も行いました。この新商品の開発過程で東三河の高校生から多くのアイデアを募集し、商品名やイメージキャラクターを採用しました。詳細はこちら

 弊社の研究が、日本人にとって大切なウナギの食文化の継続(SDGs)に少しでも貢献できれば幸いです。

 今後ともより一層のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。