ウナギ料理店は、江戸時代から続く歴史ある業態で、平賀源内(1728-1780)が客寄せのキャッチコピーとして考案した「本日、土用丑の日」が大当たりし、毎年7月になると、「土用の丑の日」ののぼりが店頭で目立ってきます。レストラン検索・予約サイトの食べログhttps://tabelog.com/によりますと、東京都だけで564軒のウナギ専門店があり、単一魚種でこれだけ店舗数が多いのはウナギだけだと思います。また、コロナ禍以降、「ウナギ」のチェーン店が急増し、10数店舗から100店舗を超えるチェーン店が出てきました。こうしたウナギの専門店の増加を受けて、今後もウナギの需要は年々拡大していくものと思われます。
こうしたウナギの需要に対して、ニホンウナギは2014年に絶滅危惧種に指定されるなど生息数が減少しており、国内で流通している国産ウナギの99%以上が養殖ウナギという状況です。養殖に必要な種苗には100%、シラスウナギと呼ばれる天然の稚魚を用いていますが、近年はシラスウナギの漁獲量が著しく減少しています。そのためシラスウナギの価格が高騰し、養鰻業者の経営を圧迫しています。また、冬場でも水温を30度前後に加温して飼育していることから、燃料代も大きな負担となり、最近の円安や原料高等で飼料価格も高騰しており、養鰻業者の経営は年々厳しい状況となっています。
養鰻業の経営を取り巻く状況の悪化に加えて、後継者問題も大きな課題となっています。生き物を飼育するということは、毎日朝夕の給餌を必要とし、ほとんど人力に頼っている給餌作業は、労働環境の改善が求められる分野です。社会全体の労働者人口減少の中で、このような労働環境は若手の雇用を困難にしています。
1 養鰻業の現状と課題
(1) シラスウナギの不漁による種苗の高騰
(2) 飼育水の加温に必要な燃料代の高騰
(3) 若年層の雇用確保の困難化と後継者問題
(4) その他
2 完全閉鎖循環式自動養鰻システムとは
(1) 飼育水を生物処理して循環利用
(2) 給餌作業・給餌量・給餌時間等の自動化
(3) 水質管理(水温・DO・pH等)等の自動化
(4) 高濃度酸素を飼育水に添加
(5) 選別・水揚げ作業の最適化
(6) 飼育環境の工夫によるストレスレス化
(7) その他
3 完全閉鎖循環式自動養鰻システムにより実現できること
(1) ウナギ食文化のSDGs
(2) 加温エネルギーの軽減による省エネ化の実現
(3) 給餌作業等の自動化による省人化の実現
(4) 水質管理等の自動化によるスマート水産業の実現
(5) 高密度飼育による高収益の実現
(6) その他