1 ニホンウナギ完全養殖に向けた研究(人工シラスウナギの量産化)
新しい飼育方法を開発し、大量かつ低コストでシラスウナギを安定生産することを目指します。
(1) 極めて低い生残率の解消
(2) 成長促進を伴う餌の開発と成長に適した栄養成分の探索
(3) 飼育水の長期維持や水入れ替え作業等の軽減を目指した養殖装置の開発
2 ウナギ資源の有効活用
ニホンウナギは、近い将来、野生での絶滅の危険性が高いものとされて、10数年前に絶滅危惧種に指定されました。シラスウナギの漁獲量が年々減少する中で、限りあるウナギ資源の有効活用の必要性が高まっています。弊社は廃棄されるウナギの頭を使った商品開発に取り組みました。
3 ウナギの魚醤「鰻能(ばんのう)」
弊社は(株)あつみ、イチビキ(株)と協働でウナギの魚醤を開発しました。原料は通常は廃棄されることが多いウナギの頭で、日本初の商品化となりました。
「ウナギの魚醤」の開発にあたり「商品名」「新商品の開発」「イメージキャラクター」を、東三河の全ての公立高校で学ぶ生徒の皆さんから募集しました。この募集を通して生徒の皆さんが地域の産業について考える機会となり、6次産業化の取組や、マーケティングなどについて学ぶことにより、キャリア教育の一助となればと考えました。
1470通という多くの応募作品の中から、商品名は「鰻能(ばんのう)」と決定しました。下図はイメージキャラクターの最優秀作品です。商品ラベルなどに採用しています。
この商品は、令和3年度「優良ふるさと食品中央コンクール」(一般財団法人食品産業センター主催、農林水産省後援)の新技術開発部門で、最高賞の農林水産大臣賞を受賞しました。
4 天然ウナギの資源保護(SDGs:持続可能な開発目標)
天然ウナギの資源保護の意義について、産官学の連携や地域での取組みを通して広く周知し、資源保護・密漁防止等の意識を高めています。そのため、「豊橋市天然うなぎ資源保護再生プロジェクト協議会」の構成員として、豊橋市や「汐川干潟を保全する会」、豊橋市養鰻漁業協同組合や地元中学生などと連携して、「石倉かご」のモニタリング調査による天然ウナギの資源調査を行っています。
5 マリン関連業務
マイボート釣り歴20数年、現在のボートは4艇目で、退職金を使って初めて新艇を購入しました。1級小型船舶操縦士、特殊小型船舶操縦士(水上バイク)、潜水士、スクーバダイビングインストラクター、遊漁船業務主任者講習修了など、海に関連する資格も取得し、安全・安心のマリンレジャーを楽しんでいます。浜名湖のマリーナにボートを保管し、凪の良い日は遠州灘に出漁して、アカムツやクロムツなどの深海魚や、アマダイやヒラメなど美味しい魚を主体に釣果をあげています。この経験を活かして何かできないかと考え、マリン関連業務を行っています。具体的にはボートフィッシングを主体とした福利厚生事業などです。
6 ドローン関連業務
高校勤務時代から無人航空機(ドローン)や水中ドローンに関心を持ち、校長時代の平成28年度からは文部科学省のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)5年間の指定を受け、5つの研究テーマに取り組んできました。その中に、ドローンによる海洋調査等の研究があり、ブルーカーボンクレジットを実現するために、ドローンによる海藻の繁茂状況の定量化等に取り組んできました。また、国産ドローンの技術開発を目指すことを目的に、生徒たちは自作ドローンの製作に取り組み、2016年には第12回全日本学生室内飛行ロボットコンテストマルチコプター(ドローン)部門で優勝しました。さらに、水中ドローンについては、技術開発を可能とする人材の育成を目指して、全国水産・海洋高等学校マリンロボットコンテストの立ち上げに関わってきました。現在のように産業ドローンが様々な業種に使用され、国家資格化(無人航空機操縦者技能証明)される前から、ドローンの将来性を見越して様々な研究に取り組んできたことで、中京テレビ放送(株)で新たに立ち上げた「そらメディア」事業において、ドローンスクールの募集や運営、産業ドローンの技術支援や機体販売等に関わっています。
7 産業教育コンサルタント
水産高校に30年勤務して、水産・海洋関連産業に関する多くの経験を得て、そこで働く有為な人材を育成してきました。また、平成27年度には文部科学省より中央教育審議会専門委員に任命され、初等中等教育分科会教育課程部会(産業教育ワーキンググループ)として、令和4年度実施の学習指導要領の作成に関わりました。その経験も大きな糧となり、特に1次産業に関しては水産に限らず農業等について、その高い可能性や将来性、現状の課題等について、様々な場面で検討を重ね研究に取り組んできました。そのことにより得られた知見や人脈等を活かして、産業教育に関するコンサルタント業務を行っています。下記の教科書等の編集に関わっています。
8 その他の業務
現在、海と日本PROJECTin愛知県(事務局:テレビ愛知(株))の代表理事をしています。海と日本PROJECTは日本財団、総合海洋政策本部、国土交通省の旗振りのもと、オールジャパンで推進するプロジェクトです。このプロジェクトは「海好き魚好き」の子供たちを育てる取組で、将来の海洋立国日本の中核を担う人材育成を目指しています。このプロジェクトでは海洋環境問題についても積極的に取り組んでおり、「豊かな海」の実現に向けて、「里海」の大切さや海洋ごみ問題等の取組を、メディア等を通した様々場面で発信しています。このような海洋環境問題についてや、ウナギの研究、ウナギの雑学全般について、小学生から大学生までを対象とした講義を依頼されて行っています。また、こうした活動全般や企業活動の紹介等を含めて、東三河懇話会やロータリークラブ等で講演も行っています。
9 活動実績
- 2023年8月以降
- 活動実績は弊社HP内の「ニュース・お知らせ」https://marinefuture-lab.com/posts/news_archive.htmlに詳細に記載しています。
- 2023年7月1日
- 東京大学農学部弥生講堂・一条ホールにおいて、東アジア鰻学会主催の「うな丼の未来シンポジウム10」~二ホンウナギ絶滅危惧種指定から10年これまでとこれから~が実施され、弊社は「地域で取り組むウナギのSDGs」と題して、ウナギ仔魚養殖用飼料及び養殖装置の開発についての取組や、石倉かごモニタリング調査を活用した天然ウナギの資源保護に関する取組、ウナギ資源の有効活用を目指した「魚醤(鰻能)」の開発等の取組について、起業してから3年間にわたる活動実績を報告しました。
- 2022年3月
- 弊社は令和3年度豊橋市イノベーション創出等支援事業の採択を受け、ウナギの完全養殖の基礎研究等を行いました。この1年の成果は弊社の力不足で、完全養殖の成功とはなりませんでしたが、毎月人工催熟実験を行い、ほぼ毎回受精卵の確保ができました。また、人工ふ化も数回成功しプレレプトセファルスを数100尾以上確保できました。さらに、弊社が開発した乾燥微粉末飼料で、14日間の生存を確認しました。2月下旬には初めて自然受精によるふ化も成功しました。
- 2021年7月~8月
- 2021年7月から8月にかけて2回、多くのウナギのふ化仔魚を確保することができました。ふ化仔魚の多くは摂餌開始時期までに死滅してしまい、残念ながら弊社で開発した飼料を用いた飼育実験までには至っていません。ここ数回の人工催熟実験において、多くの受精卵の確保が実現できていますので、実験の精度を高めながら飼育実験を可能とするふ化仔魚の確保に向けて、三谷水産高校と連携しながら(株)ニデックのご支援を受けて、引き続き取り組んでいきます。
- 2021年7月
- 2021年7月1日(木)、弊社と愛知県立三谷水産高等学校は、ウナギの完全養殖の実現に向けて連携協定を結びました。連携によって、人工シラスウナギの量産化に向けた研究や、ドローンで上空から撮影した画像を使い、ウナギが生息しやすい地形の調査、石倉かごのモニタリングや、ウナギの魚醤「鰻能(ばんのう)」を使用した新商品開発等の研究を推進させます。
- 2021年6月
- 2021年6月4日(金)、時習館高校西館で、「プロフェッショナル・ハイスクール・マーケティング・ラボ(PHラボ)」の初会合を行いました。この取組は、(株)平松食品を代表とする東三河の有志企業が集まり、東三河の専門高校(専門学科・総合学科を含む)と連携して、企業と学校の特色を活かしながら商品開発や販売促進活動等の活動を行うものです。当日は多くのメディアの取材があり、中京テレビで当日の模様が放映され、複数の新聞で記事が掲載されました。PHラボの活動を通して、専門高校(専門学科・総合学科を含む)は実践的なキャリア教育等を学ぶ貴重な機会となるとともに、企業にとっては、高校生たちの斬新なアイディアや行動力等を企業活動に活かすウィンウィンの関係となります。東三河から発信するこのPHラボの取組は、令和3年度「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業補助金(経済産業省)」に採択されるなど、全国的に注目されています。
- 2021年4月
- 2021年4月1日(木)、令和3年度豊橋市イノベーション創出等支援事業(特定分野研究開発)に採択されました。開発テーマは「ウナギの人工種苗生産に関する基礎研究や、行動生態の解明、ウナギの魚醤『鰻能(ばんのう)』を使用した新商品開発」です。ウナギの完全養殖に関する研究には多くの費用が必要ですので、この採択は今後の研究に大きな弾みとなります。弊社に研究支援をしてくださる(株)ニデックや、三谷水産高校等と連携を進めながら研究に取り組んでいきます。
- 2021年3月
- 2021年3月23日(火)に、豊橋商工会議所において、ウナギの魚醤「鰻能(ばんのう)」の商品発表会を行いました。商品名やイメージキャラクターを考えてくださった生徒さんたちや、弊社と共同開発を行った(株)あつみの久保田社長様、イチビキ(株)の中村社長様をはじめ多くの関係者の皆様が出席されて、商品発表会を無事終えることができました。多くのメディアの取材があり、中京テレビのキャッチでは当日の模様が放映され、複数の新聞で記事が掲載されました。
- 2021年2月
- 2021年2月5日(金)に、ホテルアークリッシュ豊橋において、「うな丼の未来を明るく、夢の実現へ」と題して講演を行いました。緊急事態宣言延長の中、感染対策を万全に様々な取組が行われて実施されました。弊社のウナギの人工種苗生産の研究を中心に、「石倉かご」の取組や「ウナギの魚醤」の開発等、日本人の大切な食文化の継続(SDGs)について話しました。
- 2020年12月
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12月5日(土)に、「海と日本プロジェクトin愛知県」の取組として「愛知の海を探求しよう!解き明かせ、5つのオーシャンクエスト!」を実施しました。三谷水産高校を配信基地として、オンラインで小学生5・6年に「蒲郡に生息する海産物の種類を学ぼう!」など5つの項目の内容に、同校の先生方や地元の水産業者さんらが講師となり、楽しく学びながら愛知の海を知る機会となりました。
- 2020年11月
- ウナギの頭を使ったしょうゆ(魚醤)の「商品名」「新商品の開発」「イメージキャラクター」を東三河の全ての公立高等学校で学ぶ生徒の皆さんから募集したところ、1,470通というたいへん多くの応募がありました。
厳正なる選考の結果、商品名は「鰻能(ばんのう)」、イメージキャラクターは「とうしょーくん」(以下)に決定しました。- ウナギの魚醤が地域の特産品として幅広く愛される商品となることを願って、今後も商品化に向けてブランディング等に取り組む所存です。
- 2020年9・10月
- 愛知県豊橋市の汐川干潟でウナギの生態調査を行いました。日本の伝統漁法を応用した「石倉カゴ」が使われ、干潟で石倉カゴを使った調査が行われるのは全国で初めてです。捕獲したウナギに電子タグを埋め込み、生態を継続的に調査していきます。
- 2020年5月
- 食品メーカー「イチビキ」(名古屋市)がウナギの頭を使ったしょうゆ(魚醤)の試作を開始しました。海みらい研究所では、水産加工会社あつみ(豊橋市)で廃棄されていたウナギの頭の有効活用を持ち掛け、イチビキに魚醤づくりを提案しました。