2.スマート養鰻業の研究・確立
ニホンウナギの資源回復を目指して - 完全養殖技術への挑戦
ニホンウナギは、絶滅危惧ⅠB類に分類される絶滅の危険性が高い種です。近年では、稚魚(シラスウナギ)の採捕量が低水準で推移しており、養鰻業者の廃業や価格の高騰といった問題が深刻化しています。このような背景のもと、持続可能なウナギ資源の確保には「完全養殖」の実現が不可欠となっています。
弊社は、医療・眼科機器およびコーティング技術に優れた株式会社ニデック様(本社:愛知県蒲郡市)のご支援のもと、愛知県立三谷水産高等学校と連携しながら、完全養殖の最大の課題である「人工シラスウナギの量産化と商業化」を実現する技術開発に向け、以下の3つに取り組んできました(ニデック様によるご支援期間は2020年4月~2022年3月、支援終了後は自己資金のみ)。
(1) 極めて低い生残率の解消
(2) 成長促進を伴う餌の開発と成長に適した栄養成分の探索
(3) 飼育水の長期維持や水入れ替え作業等の軽減を目指した養殖装置の開発
3年間以上の研究に取り組んできた結果、計画的な二ホンウナギの人工催熟とふ化が可能となり、弊社が作成した微粉末乾燥飼料(数10μm)で15日の飼育に成功しました。自社開発の養殖装置(クラゲ用水槽改良型)は、飼育水に微粉末乾燥飼料を均一に拡散することができ、摂餌行動で想定した時間はその状態を保ち、換水を始めると5~6ターン/hで飼料を排出することが可能となりました。
自社開発の養殖装置は約3トン/dの清浄な海水を必要としますが、連携している水産高校でその清浄海水を確保するのは難しく、新たに確保するためには多額の設備投資が必要となりますので、人工シラスウナギの量産化(商業化)に向けた研究はひとまず中断することにしました。
その後は、上記の研究で得られた新たな知見や多くの研究者の成果、水産高校校長時代に取り組んだ陸上養殖アワビプロジェクトで得た貴重な経験や、先進的な取組を実施している養鰻業者さんを訪問して、実践的で持続経営が可能な養鰻技術を学ぶことで、「完全閉鎖循環式自動養鰻システム」の開発に着手しました。
「完全閉鎖循環式自動養鰻システム」の特徴
(1) 飼育水を生物処理して循環利用・省エネルギー化
(2) AIを活用した給餌作業・給餌量・給餌時間等の自動化・最適化
(3) 水質管理(水温・DO・pH等)等の集中管理・自動化
(4) 高濃度酸素を飼育水に添加して高密度飼育化
(5) 選別・水揚げ作業の自動化・省力化
(6) 飼育環境の工夫によるストレスフリー
(7) その他
