「ウナギの栄養価」

(1) 一般成分
 日本食品標準成分表2015版(以下出典は同じ)によると、ウナギ(養殖、生)のエネルギーは可食部100gあたり256kcalで魚肉・食肉の中で一番高く、脂質も100gあたり19.3gで最大です。
(2) コラーゲン
 コラーゲンは結合組織の中に含まれる筋基質タンパク質で、すべての脊椎動物に存在しますが、ウナギには特異的に多く含まれ、ウナギ魚体の粗タンパク質中40%を超えて存在しています。魚類は遊泳様式により、体全体をくねらせて泳ぐウナギ型やマダイ型、アジ型、マグロ型の4群に分類されますが、コラーゲンはウナギ型に最も多く体全体に分布しています。
(3) 脂肪酸
 ウナギは高脂肪食品ともいわれ、筋組織に広く分布しています。前述した全脂肪含量19.3gのうち、脂肪酸は15.45gと他の魚肉や畜肉に比べ多く存在します。全脂肪酸の中で一価不飽和脂肪酸が約55%を占め、そのうちの7割がオレイン酸です。オレイン酸は悪玉コレステロール濃度を下げるといわれ、代表的な油にオリーブオイルがあります。また、魚に特徴的に含まれる多価不飽和脂肪酸のIPA(イコサペンタエン酸、EPAともいう)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は他の魚肉や畜肉より多く含まれ、特にDHAは非常に多く含まれています。これらは血液をサラサラにしたり、頭をよくするといわれ、健康食品としての価値も高いです。
(4) ビタミン
 ウナギの筋肉にはビタミンA・E・B群が豊富に含まれ、特にビタミンAはウナギの標準的な蒲焼きの半分量(50g)で、成人男性1日の必要摂取量を超え、このことがウナギを食べると元気になるといわれる所以です。ビタミンB2や葉酸、パントテン酸は他の食品に比べ極めて多く存在しています。
(5) ミネラル
 ウナギ筋肉に含まれるミネラルのうち、カルシウム(Ca)は他の食品に比べて含量が高く、牛乳よりも高いうえに、カルシウムとリン(P)の比が1:2で理想的な摂取量となります。加えて、ウナギはカルシウムの吸収を促進するビタミンDも多いことから、カルシウムの吸収率は高まるといわれています。この他に亜鉛(Zn)の含量も他の魚種に比べ高いです。

2020年12月21日